名古屋地方裁判所 昭和37年(ワ)391号 判決 1962年5月09日
原告 株式会社愛知電機工作所
被告 植手電機製作所こと植手信義
主文
被告は原告に対し、原告が別紙目録<省略>記載の約束手形を昭和三十七年四月二十五日以降に支払のため呈示したときは、金八十六万一千円およびこれに対する右呈示の日以降(ただし、満期日およびこれに次ぐ二取引日内に呈示したときは満期日たる昭和三十七年四月二十五日以降)右金員支払ずみに至るまで年六分の割合による金員を支払え。
原告のその余の請求を棄却する。
訴訟費用は被告の負担とする。
この判決中原告勝訴の部分は仮りに執行することができる。
事実
原告訴訟代理人は、被告は原告に対し、昭和三十七年四月二十五日限り金八十六万一千円およびこれに対する右期日以降右金員支払ずみに至るまで年六分の割合による金員を支払え、訴訟費用は被告の負担とする、との判決ならびに仮執行の宣言を求め、その請求原因として、被告は原告に対し、別紙目録記載の約束手形(以下本件手形と略称する)を振出し、原告はこれが所持人であるが、被告は昭和三十七年二月二十日に不渡手形を出して倒産したので本件手形の支払期日が到来するも、被告にこれが支払義務の履行を期待することはできない状態にある。よつて原告は被告に対し、本件手形の支払期日である昭和三十七年四月二十五日限り右手形金八十六万一千円およびこれに対する右期日以降右金員支払ずみに至るまで手形法所定年六分の割合による利息の支払を求めるため本訴におよんだと陳述した。
被告訴訟代理人は、原告の請求を棄却する旨の判決を求め、答弁として原告主張の請求原因事実は全部認めるが、被告は現在手許不如意のため原告の請求に応じられないと述べた。
理由
原告主張の請求原因事実はすべて被告において自白するところであり、右事実によれば、原告が本件手形金の請求を予めなす必要ある場合にあたるものというべきである。なお被告の手許不如意を理由とする支払拒絶の主張は、原告の本訴請求を阻止する理由がないことは明らかである。
しかし原告は被告に対し、本件手形の満期日である昭和三十七年四月二十五日限り、その手形金とこれに対する右期日以降右金員支払ずみに至るまでの利息を支払えとの確定期限附の請求をしているが、約束手形は呈示証券であるから、原告が右金員の支払を求めるためには、被告に対し右満期日またはその後に本件手形を支払のために呈示することが条件である。(なお右満期日以降の利息を請求するためには満期日またはこれに次ぐ二取引日内に呈示する必要がある)。
よつて原告の本訴請求を右条件を附した限度で認容し、その余の部分を失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十二条を、仮執行の宣言につき同法第百九十六条第一項をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 木戸和喜男)